居直り日記

深く考えずに書く

【映画】「青空娘」| 80年代大映ドラマ

不幸な生い立ちの少女が周囲のいじめにあいつつも最後には幸せを掴む、という、「小公女」的ストーリー。が、これは「小公女」というより80年代大映ドラマに近い。近いというか、その原型ではないか。増村保造大映ドラマの演出・脚本を多く手掛けたというからまあ当然といえるかも。

少女に何が起ったか」とか「不良少女とよばれて」とか、昔見てたなーと思いつつ鑑賞したが、懐かしくはあっても面白いかと言われると躊躇する。というか、正直見ていられないと思った(でも最後まで見た)。

80年代大映ドラマといえばその大仰なセリフと荒唐無稽なストーリーが特徴だが、この「青空娘」もなかなかのものだ。

不義の子ゆえに父母の顔を知らずに育った有子(若尾文子)は、成人して父親の家で暮らすことになるも、義母(沢村貞子)、義姉、義兄にいびられる。

が、健気でまっすぐ(で美人)な有子は義弟や家政婦八重(ミヤコ蝶々)、義姉の男友達である広岡など周囲の人々の心をつかみ、高校時代の恩師の協力も得てついには生き別れの母親(三宅邦子)との再開を果たす。父親の家を出た彼女は、広岡からのプロポーズを受け入れるのであった。

実母が何故か恩師の働く会社の掃除婦をしているなど、ご都合主義な部分もあるし、ありきたりなストーリーではあるが、それはまあ良いとして、辛いのは一つ一つのエピソードとセリフである。

例えば、義母は有子に自室として物置をあてがい、彼女を女中扱いする。それだけでも「いやいやその展開は…」と思うが、そのことを夫になじられた彼女は「あの子が自分から女中をしたいって言ったの!!(有子に向かって)あんたそう言ったわよね!!!」(実際はもっと金持ちマダムっぽい言葉遣いだが)と言い放つのだ。

他にも、「有子が持っていた実母の写真を、義姉が彼女の目の前で破る」「意地悪な義姉が思いを寄せている男である広岡が有子のことを好きになる」「有子と義弟が取っ組み合いの喧嘩をした結果、仲良くなる」「病床の父親に有子が『もっと家族を大事にしろ』と説教、父親は素直に反省の弁を述べ、それを聞いた義母は泣き崩れる」などのエピソードが続く。悪い意味ですべてが古風な少女マンガみたいなのだ。

セリフもなかなかすごかったが、どういうわけか全く覚えていない。

「まあ、見なくてもよかったかな…」という映画ではあった。あと、有子が広岡に靴を預けるシーンが謎だった。