居直り日記

深く考えずに書く

ネタバレあり【映画】「バニー・レークは行方不明」| これは面白い!

!ネタバレあり!

アメリカからイギリスに来たばかりの若い女性アンが、自分の娘が行方不明になったと警察へ訴えるが、調べが進めば進むほど、娘が実在していないのではないかという疑いが強くなっていく。

キア・デュリアは、とても整った顔なのだが、最初から怪しい。顔が怪しいのだ。目がちょっとイっちゃってるというか。ラストのブランコのシーンでの彼の爆発したような笑顔と、キャロル・リンレーの必死な表情の対比がすごい。あのシーンの緊張感はなかなかのものだ。

ほんとは娘なんて存在しなくて、母親の妄想に過ぎないんじゃないかと思わせておいて、実は妹に執着する兄の凶行だった、というストーリーは現代ではありがちかもしれないが、この時代には珍しかったんじゃないか。

キア・デュリアの、人形の修理店での煽るようなアップは不要だったと思う。くどい。が、蹴り飛ばされた人形のショットは良い。キア・デュリアの残酷さと不気味さが感じられる。

面白い映画だが、気になるのは「アンはなぜ人形店での兄の行動を見るまで、犯人が兄であると疑わなかったのか」ということだ。ラストの兄との対決シーンでは、アンが主導権を持っているかのように、かよわい、保護される妹ではなく、姉か母親のように振る舞うのだが、兄の異常性をその時に初めて知ったのであれば、あんな振る舞いはできないだろうと思うわけで。イギリスに来る前から、すでにスティーブンには異常な兆候があったんじゃないか、そしてアンもそれに気づいていたんじゃないかと。

もし、バニーを誘拐したのがスティーブンだとわかったときに、初めて兄の自分に対する異常な執着を知ったのなら、あんな風にスティーブンをコントロールすることはできないのでは。そこにちょっと引っかかりを感じた。

ストーリーも面白いが、ホラーチックな味付けも楽しい。ノエル・カワードが演じるド変態男(サド侯爵愛用のムチと、サドの頭蓋骨を持っている)とか、保育園の魔女とか。