居直り日記

深く考えずに書く

【映画】「恐怖の報酬」(1977)| 音楽なくても良かったんじゃないのか

「救いのない結末、南米が舞台、アウトローが主役」という、好きなタイプの映画ではある。が、「傑作」と言われるとうーんそーかなーという感じ。ウィリアム・フリードキン本人は、自身の最高傑作と言っているらしいが。

良くも悪くも、タンジェリン・ドリームの音楽が気になった。70年代末から80年代の電子音楽は、強烈に「その時代っぽさ」を感じさせる。ブレードランナーみたいな。

時代を感じさせたければ有効だが、そのぶんいわゆるオーケストラ基調の音楽を使った映画よりも普遍性は薄まる(物語自体の普遍性は別にして)。

セリフを極限まで削ぎ落としたことで、映画の緊張感は高い。最初から最後まで不穏でストレスに満ちた空気が漂う。それだけに、音楽は全くなしでも良かったのではないか。

有名な吊橋のシーンは確かに圧巻。トラックが生き物のように見える瞬間があり、いささかホラーっぽさすら感じさせる。

ラスト付近、ロイ・シャイダー演じるドミンゲスが、度重なる重圧とニーロの死からうけた衝撃からか、ふいに精神を病んだように見えるシーンがある。次々と起こるフラッシュバックと、乾いた白っぽい砂漠のような、地球とは違う惑星のような風景。ああいったところも70年代的だと感じる。